ジャンプ名作の感想・批評

ジャンプ名作の感想・批評に関する記事です。

 
2007/03/10(土)
タイトル:テニスの王子様
集英社ジャンプコミックス
著者:許斐剛
1999年7月より週刊少年ジャンプにて連載中

「テニスの王子様」は先入観だけで判断されている典型的な漫画だと思います。漫画の名前は誰でも知ってるけれども、実は読んでいない、という漫画はけっこうありますよね。
「テニスの王子様」、と言われたら、イベントや同人界を沸かせている熱狂的なファン層を真っ先にイメージしがちです。

例に漏れず、私も長い間、テニスの王子様をそのような先入観だけで判断していて、人生を貧しいものにしておりました。私の知人なども、この漫画の熱狂的なファンのことは知っていても、実際に「テニスの王子様」を読んだことがない人が多いです。読んだことがないくせに、テニプリの読者を「腐」だのなんだのと決め付けるのはいかがなものかと言わざるを得ません。

しかしためしに読んでみると、このテニスの王子様という漫画、ある意味では、現在では希少種となりつつあるかもしれない正統派のジャンプ漫画でした。

天才的な主人公リョーマと、不二や手塚と言ったクールなライバルたち。
乾や菊丸、大石、桃城などの個性的な仲間たち。
氷帝学園とか聖ルドルフ学院とか、名前からしていかにも強そうな敵チーム。

「テニスの王子様」は、(少なくとも20巻あたりまでは)汗と笑顔のスポーツ少年漫画だと思います。
漫画と関係あるかどうかは知りませんが、作者の許斐さんも爽やかな感じのイケメンで、ファンサービスも満点です。20巻をすぎたあたりからは、そんなイケメン作者さんの"CooL"が全開になりつつあって、それはそれでファンにはたまりません。たまに暴走気味になりこともありますが、むしろどこまでも着いて行きます、という気分にさせてくれます。

「テニスの王子様」は、絵柄的には「スラムダンク」との近縁性が指摘されるかもしれません。しかしこの漫画の系譜は、むしろ、かの名作「キャプテン翼」であります。
とにかく、物理法則よりも勢いが大事なのです。
「宇宙戦艦ヤマト」に感動の涙を流している人の横で、科学考証がどうたらこうたらと薀蓄を垂れるような人なんかよりも、翼くんと岬くんのスカイウイングツインシュートを習得しようとグラウンドで汗を流す小学生たちのほうが、ずっと少年漫画というものを理解していると思います。

キャラの魅力という点でも、例えば不二周助なんか、とてもいいキャラだと思います。
不二は誰からも嫌われる要素がないのに、なぜか弟の裕太には嫌われていた、というのが面白い。
というか可愛い。
裕太がもし自分を脅かすほど力をつけたら、周助はどう思うだろうか、たぶん表面上はニコニコしつつも、内心では焦りまくるんだろうな、とか、ついつい考えてしまいます。

テニスの王子様は、アニメ、CD、ゲームetcありとあらゆるメディアで商業展開されているし、ファン層も厚いので、一度ハマれば、二度も三度もおいしい設定になってます。とくにミュージカル(略してテニミュ)はオススメです。
ニコニコ動画でも大人気です(あれ?)。

ちなみに私は、不二(兄)の焦る顔も好きですが、緻密な背景作画を見るのも好きです。
フェンスの金網やラケットの網なども、誰もチェックしないだろう、というところまで丁寧に描き込んであってびっくり。

▼テニスの王子様はギャグ漫画?


某巨大掲示板を中心に、「テニスの王子様」はギャグ漫画だという説をよく見かけます。たしかに、言わんとすることは分かります。いわゆる「魔球」路線の向こうは、たしかにギャグの領域ですから。
でも、これほど”熱く”なれる漫画もそうはないと思うのです。あるいは、ちょっと言い方がヘンかもしれませんが、この漫画を感情にまかせて読んでいると、許斐先生のペン先から滔々と流れ出る”COOL”の波に飲み込まれてしまいそうな気分になれます。ギャグ漫画は発作的で非連続的な感覚を読み手にもたらしますが、テニスの王子様を読んで得られる感覚は、まるで逆です。
正直、「テニスの王子様」をギャグ漫画などといっている人は、この漫画の醍醐味をまだ知らずにいるのではないかと訝ってしまいます。

▼参考図書:テニスの王子様全巻





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